制度上の用語解説

公益法人制度に関するキーワードについて解説しています。参考にしていただけると幸いです。

 

公益法人制度改革とは

平成13年以降、公益法人制度の抜本的な改革の取り組みをはじめ、「民による公益の増進」をテーマに平成18年6月に新しい公益法人の法律が公布されました。その後、平成19年4月に国の公益認定等委員会が発足し、平成19年9月に公益認定等に関する政令・内閣府が制定され、平成20年4月には、公益認定等ガイドラインが決定されました。また、公益法人制度改革に合わせて税制に関しても平成20年税制改正で改正されました。当該新制度の施行は、平成20年12月1日で、既に新制度が開始している状況です。

 

許可主義とは

従来の主務官庁による社団法人・財団法人の設立に関しては、主務官庁の許可が必要となる許可主義を採用していました。そのため、主務官庁の裁量が強い制度であったといえます。

 

準則主義とは

新しい公益法人制度では、社団法人・財団法人の設立に関しては、株式会社と同様、登記のみで行うことが可能となる準則主義を採用しています。そのため、従来と異なり、法律に準拠すれば、誰でも簡単に法人格を取得することが可能となりました。

 

一般法とは

一般法とは、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律の略称です。「法人法」と略している場合もあります。これは、法人の設立、組織、運営及び管理について規定されている法律であり、株式会社でいうところの会社法に相当する法律であるといえます。

 

認定法とは

認定法とは、公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の略称です。一般社団法人、一般財団法人が公益社団法人、公益財団法人となるための公益認定基準等を規定している法律です。

 

整備法とは 

整備法とは、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律の略称です。従来の社団法人、財団法人が新制度へ移行する際の経過措置的な内容を規定している法律です。

 

ガイドラインとは

公益認定等委員会が公表した公益認定等に関する運用について定めたガイドラインであり、公益認定の申請を行う際には、参考となるガイドラインです。参考資料として「公益目的事業のチェックポイント」があり、これは公益目的事業の定義における「不特定かつ多数の利益の増進に寄与するもの」の事実認定として参考となるポイントが事業区分ごとに18項目掲げられています。なお、随時内容は更新されています。

 

FAQとは

公益認定等委員会事務局が公表した新しい公益法人制度に係るQ&Aをとりまとめたものであり、公益認定を受ける際に参考となる資料です。

 

公益法人会計基準とは

公益法人に関する会計基準には、昭和60年基準、平成16年基準、平成20年基準と呼ばれる基準があり、「昭和60年基準=旧基準」、「平成16年基準=新基準」、「平成20年基準=新新基準」と呼ばれることもあります。このうち、昭和60年基準は、いわゆる収支計算に基づく会計であり、一取引二仕訳という一般的な簿記から見ると特殊な会計処理を行う基準となっています。これに対し、平成16年基準、平成20年基準は、損益計算に基づく会計であり、企業会計に近い会計基準となっています。新しい法律においては、損益計算を基礎としなければならないため、少なくとも昭和60年基準を適用することは認められていません。 平成16年基準と平成20年基準は、基本的な考え方は大きく変わっておりません。主な変更点としては、新しい公益法人制度に対応した表示方法になっている点であるといえます。

なお、一般法人については、「一般に公正妥当と認められる会計基準その他の会計の慣行」によることとされているため(一般法施行規則21条)、必ずしも公益法人会計基準を適用しなければならないというわけではなく、企業会計の基準を適用することも問題ないとされています。

他方、公益法人については、「一般に公正妥当と認められる公益法人の会計基準その他の公益法人の会計の慣行」によることとされているため(認定法施行規則12条)、必ずしも平成20年基準を適用しなければならないというわけではなく、平成16年基準を採用することも可能です。ただし、公益法人においては、法律で定められた書類を作成する必要があり、当該書類の形式は、平成20年基準と整合する形になっています。そのため、実務的な利便性を考えると、実質的には平成20年基準で対応することになると考えられます。

 

内部管理事項とは

内部管理事項とは、平成16年基準の公益法人会計基準が公表され、昭和60年基準上、計算書類とされていた収支計算書が計算書類の範囲から外されたことに伴い、収支計算書に関する取扱いを平成17年に別途公表したものです。

 

指導監督指針とは 

従来の公益法人制度においては、主務官庁が当該指導監督指針に基づき、社団法人、財団法人を設立許可及び指導監督していました。指導監督指針においては、法人の目的、事業の内容、機関設計、財務基準等の監督指針が定められておりました。事業の内容、役員の構成、内部留保基準、株式の保有制限等、新しい公益法人制度における認定基準と類似した監督指針が定められておりましたが、考え方は類似していても新しい基準とは異なりますので留意する必要があります。

 

社団法人とは

社団法人とは、社員によって構成される法人です。株式会社と異なり社員に持分があるわけではありませんが、それ以外は株式会社に近い組織になっています。たとえば、最高意思決定機関である社員総会は、株式会社の株主総会、法人の役員である理事・監事は、株式会社の取締役・監査役、理事から構成される理事会は、株式会社の取締役会、理事の代表者である代表理事は、株式会社の代表取締役に相当します。機関設計、法人運営、役員の責任等は会社法に類似した規定になっています。

 

財団法人とは

財団法人とは財産に法人格が付与されている法人です。基本的には、社団法人同様、会社法に類似した規定が多くなっています。ただし、社団法人と異なり、法人の構成員である社員がいないため、その代わりとして評議員、評議員会という制度があります。評議員は役員であり、理事を監督する立場にあるため、理事が評議員を選任することはできず、中立性を保てる方法で選任することになっています。

 

民法34条法人とは 

民法34条法人とは、従来の民法34条の根拠に設立された社団法人・財団法人のことを意味します。

 

任意団体とは

任意団体とは、法律に基づく法人格のない組織のことを意味します。構成員から独立した存在として認められる場合は、「権利能力なき社団・財団」と呼ばれることもあります。法律に基づいた組織でないために自由な組織運営が可能な反面、法人格がないために権利義務の帰属が法人に比べて不明確になるケースがあります。なお、税法上は、「人格なき社団等」として法人同様に納税義務が課されています。

 

特例民法法人とは

特例民法法人とは、従来の社団法人、財団法人で平成20年12月1日の新制度後に移行認定もしくは移行認可が完了していない法人のことを指します。特例民法法人については、原則として従来の社団法人、財団法人と同様の法人運営、主務官庁による指導監督、税制上の取扱いを受けることになります。ただし、平成25年11月30日までに移行申請を行っていない場合、平成25年11月30日までに移行申請を行ったが、その後不認可もしくは不認定の処分を受けた場合、解散することになってしまいます。なお、略称で「特民」と呼ばれることもあります。

 

一般社団法人とは

一般社団法人とは、一般法に基づく新制度における社団法人のことです。公益認定の申請を行い、公益認定を受けることができれば、公益社団法人となることができます。

 

一般財団法人とは

一般財団法人とは、一般法に基づく新制度における財団法人のことです。公益認定の申請を行い、公益認定を受けることができれば、公益財団法人となることができます。なお、二期連続して純資産が300万円未満となった場合は解散しなければなりません。

 

一般法人とは 

一般社団法人、一般財団法人を合わせて一般法人と呼ばれることが多いです。

 

公益社団法人とは

公益社団法人とは、認定基準を満たした公益性の高い社団法人のことです。公益社団法人となるためには、厳しい認定基準を満たし、欠格事由に該当しない必要があります。公益社団法人は、公益性が高い法人であるため、税務上の優遇措置が数多く認められています。

 

公益財団法人とは 

公益財団法人とは、認定基準を満たした公益性の高い財団法人ののことです。公益財団法人となるためには、厳しい認定基準を満たし、欠格事由に該当しない必要があります。公益財団法人は、公益性が高い法人であるため、税務上の優遇措置が数多く認められています。

 

公益法人とは

公益社団法人、公益財団法人を合わせて公益法人と呼ばれることが多いです。なお、従来の社団法人、財団法人のことも公益法人と呼ぶこともあります。また、非常に広い意味において、営利法人でない学校法人、宗教法人、社会福祉法人等も含めた総称として呼ばれることもあります。なお、税法上も同じ文言がありますが、税法上の定義と一般的な定義は必ずしも同じではないため、留意する必要があります。

 

移行法人とは

移行法人とは、従来の社団法人、財団法人が移行認可申請により一般法人へ移行した後、いまだ公益目的支出計画が終了していない法人のことを指します。基本的に一般法人は行政庁の監督がない法人ですが、公益目的財産額がある法人は、公益目的財産額がゼロになるまでは行政庁の監督を受けるなければならないことになっています。これは、従来の社団法人、財団法人時代に公益法人という立場で獲得した財産は、公益目的に支出しなければならず、支出がすべて終わるまでは、行政庁が監督するという趣旨のものです。移行法人は、毎事業年度終了後一定の書類を行政庁に提出しなければなりません。

 

許可取消法人とは

特例民法法人が一般法人へ移行申請し、許可を受けた場合において、当該申請が偽りその他不正の手段によって認可を受けたものである場合は、許可行政庁が許可を取消す場合があります。その場合、許可を取消された法人は、特例民法法人とみなして取扱われることになりますが、税法上の取扱いは、優遇税制が適用される特例民法法人の扱いではなく、一般法人の扱いになります。

 

大規模法人とは

大規模法人とは、負債200億円以上の法人であり、キャッシュ・フロー計算書の作成、会計監査人の設置が義務付けされる法人のことを意味します。

 

移行期間とは

移行期間とは、新制度が平成20年12月1日に施行されてから、5年間の平成25年11月30日までの期間を指します。この期間までに従来の社団法人・財団法人は、移行申請を行わないと解散することになっています。

 

定款とは

定款とは、法人の目的、機関設計等、法人の基本となる事項を定めた規則のことです。新規に法人を設立する際には、公証人から定款の認証を受けて、設立登記することになります。定款には、必ず記載しなければならない絶対的記載事項、記載しなければ効力が生じない相対的記載事項、任意に記載することができる任意的記載事項があります。なお、公益認定を受けるための要件として一定の定款の記載が必要になります。また、税務上一定の扱いを受けるための要件としても一定の定款の記載が必要になります。そのため、定款の記載は非常に重要であるといえます。定款は、社団法人であれば社員総会、財団法人であれば評議員会の決議がなければ変更することはできません。

 

寄付行為とは

寄付行為とは、従来の財団法人において定款と同様の性格として定められていた規則のことを指します。なお、新しい制度においては、財団法人においても定款という名称に変更されています。

 

定款の変更の案とは

定款の変更の案は、従来の社団法人・財団法人が移行認定、移行認可の際に申請書類の一部として添付しなければなりません。なぜなら、従来の社団法人・財団法人は、平成20年12月1日以降、特例民法法人として存続していますが、当該法人については本来準拠すべき一般法の規定を経過措置的に適用せず、従来の民法のときの取扱いのまま法人運営されており、移行に関しては、一般法に準拠するように定款を変更する必要があるからです。なお、移行認定を受ける場合は、さらに公益認定基準で求められている定款の記載も必要となってきます。一般法に準拠するための定款の変更の案については、法人としての意思決定は必要になりますが、原則として主務官庁の許可は不要となっています。

 

停止条件とは

停止条件とは、特定の条件が成立するまで法律効果が停止されていることを意味しています。特例民法法人が移行認定・移行認可を受けて一般法の適用を受けることになる場合、機関設計等の取扱いがその時点から変更となってしまいます。そのため、実務上は、役員の選任等に関して、移行の登記を停止条件として選任決議を行うケースが多いと思われます。

 

移行認可とは

移行認可とは、特例民法法人が一般法人になることを指します。

 

移行認定とは

移行認定とは、特例民法法人が公益法人になることを指します。

 

公益認定とは

公益認定とは、一般法人が公益法人になることを指します。公益法人になるという意味で移行認定も含んで公益認定と呼ぶこともあります。

 

公益目的事業とは

公益目的事業とは、認定法2条第4号に定められた事業でA「学術、技芸、慈善その他の公益に関する別表各号に掲げる種類の事業であって」、B「不特定かつ多数の者の利益の増進に寄与するもの」のことを意味します。 すなわちAかつBの要件を満たす事業のことを公益目的事業といいます。

Aの事業の種類の要件については、認定法の別表に23項目掲げられています(具体的には22項目について記載があり、残り1つについては政令で定めるものとされていますが具体的には定められていません)。なお、別表14号に「〜その他より良い社会の形成の推進を目的とする事業」にあるように、事業の種類の考え方には幅があるため、いずれかの事業の種類に当てはめるのは、それほど難しくないかもしれません。

Bの要件については、「公益認定等ガイドライン」の参考資料の「公益目的事業のチェックポイントについて」に留意すべきポイントが18事業区分ごとに掲げられています(具体的には17種類の事業区分が掲げられており、残り1つについては、いずれにも該当しない場合のポイントが掲げられています)。 いかに「不特定かつ多数」の利益の増進に寄与するかを説明できるかが大きなポイントとなります。

なお、当然のことならが、事業を行うにあたっては、定款において事業の根拠となる目的が記載されている必要があります。

なお、Aの事業の種類は、以下の通りです。
一 学術及び科学技術の振興を目的とする事業
二 文化及び芸術の振興を目的とする事業
三 障害者若しくは生活困窮者又は事故、災害若しくは犯罪による被害者の支援を目的とする事業
四 高齢者の福祉の増進を目的とする事業
五 勤労意欲のある者に対する就労の支援を目的とする事業
六 公衆衛生の向上を目的とする事業
七 児童又は青少年の健全な育成を目的とする事業
八 勤労者の福祉の向上を目的とする事業
九 教育、スポーツ等を通じて国民の心身の健全な発達に寄与し、又は豊かな人間性を涵養することを目的とする事業
十 犯罪の防止又は治安の維持を目的とする事業
十一 事故又は災害の防止を目的とする事業
十二 人種、性別その他の事由による不当な差別又は偏見の防止及び根絶を目的とする事業
十三 思想及び良心の自由、信教の自由又は表現の自由の尊重又は擁護を目的とする事業
十四 男女共同参画社会の形成その他のより良い社会の形成の推進を目的とする事業
十五 国際相互理解の促進及び開発途上にある海外の地域に対する経済協力を目的とする事業
十六 地球環境の保全又は自然環境の保護及び整備を目的とする事業
十七 国土の利用、整備又は保全を目的とする事業
十八 国政の健全な運営の確保に資することを目的とする事業
十九 地域社会の健全な発展を目的とする事業
二十 公正かつ自由な経済活動の機会の確保及び促進並びにその活性化による国民生活の安定向上を目的とする事業
二十一 国民生活に不可欠な物資、エネルギー等の安定供給の確保を目的とする事業
二十二 一般消費者の利益の擁護又は増進を目的とする事業
二十三 前各号に掲げるもののほか、公益に関する事業として政令で定めるもの

 

収益事業等とは

収益事業等とは、公益目的事業以外の事業であり、収益事業と共益事業のことを指します。公益法人は、収益事業等からの利益の50%以上を公益目的事業財産へ繰入しなければなりません。なお、法人税法上の収益事業課税における収益事業とは、文言は同じですが、定義している意味が異なるため、注意が必要です。

 

認定基準とは

認定基準とは、公益認定を行う際の基準であり、認定法第5条に18項目定められています。なお、公益認定を受ける際、当該18項目のうち、財務に関する基準については、将来の見込数値をベースとして判断されることになります。しかしながら、一旦公益認定を受けた場合は、実績数値として当該財務に関する基準を満たしていかなければなりません。当該基準を実績数値として満たしているか否かについては、毎事業年度終了後、行政庁に一定の書類を提出する必要があります。また、行政庁は、報告徴収、立入検査、勧告、命令、取消処分等によって公益法人を監督していくことになります。そのため、認定基準は、単に認定時の入り口で満たすだけの基準ではなく、認定後は継続的に満たしていなければならない基準であるといえます。そのため、認定基準を満たすか否かは、短期的ではなく、法人の将来性を勘案して長期的な視点で検討していく必要があるといえます。

認定法の18項目

 公益目的事業を行うことを主たる目的とするものであること。

 公益目的事業を行うのに必要な経理的基礎及び技術的能力を有するものであること。
 その事業を行うに当たり、社員、評議員、理事、監事、使用人その他の政令で定める当該法人の関係者に対し特別の利益を与えないものであること。
 その事業を行うに当たり、株式会社その他の営利事業を営む者又は特定の個人若しくは団体の利益を図る活動を行うものとして政令で定める者に対し、寄附その他の特別の利益を与える行為を行わないものであること。ただし、公益法人に対し、当該公益法人が行う公益目的事業のために寄附その他の特別の利益を与える行為を行う場合は、この限りでない。
 投機的な取引、高利の融資その他の事業であって、公益法人の社会的信用を維持する上でふさわしくないものとして政令で定めるもの又は公の秩序若しくは善良の風俗を害するおそれのある事業を行わないものであること。
 その行う公益目的事業について、当該公益目的事業に係る収入がその実施に要する適正な費用を償う額を超えないと見込まれるものであること。
 公益目的事業以外の事業(以下「収益事業等」という。)を行う場合には、収益事業等を行うことによって公益目的事業の実施に支障を及ぼすおそれがないものであること。
 その事業活動を行うに当たり、第十五条に規定する公益目的事業比率が百分の五十以上となると見込まれるものであること。
 その事業活動を行うに当たり、第十六条第二項に規定する遊休財産額が同条第一項の制限を超えないと見込まれるものであること。
 各理事について、当該理事及びその配偶者又は三親等内の親族(これらの者に準ずるものとして当該理事と政令で定める特別の関係がある者を含む。)である理事の合計数が理事の総数の三分の一を超えないものであること。監事についても、同様とする。
十一  他の同一の団体(公益法人又はこれに準ずるものとして政令で定めるものを除く。)の理事又は使用人である者その他これに準ずる相互に密接な関係にあるものとして政令で定める者である理事の合計数が理事の総数の三分の一を超えないものであること。監事についても、同様とする。
十二  会計監査人を置いているものであること。ただし、毎事業年度における当該法人の収益の額、費用及び損失の額その他の政令で定める勘定の額がいずれも政令で定める基準に達しない場合は、この限りでない。
十三  その理事、監事及び評議員に対する報酬等(報酬、賞与その他の職務遂行の対価として受ける財産上の利益及び退職手当をいう。以下同じ。)について、内閣府令で定めるところにより、民間事業者の役員の報酬等及び従業員の給与、当該法人の経理の状況その他の事情を考慮して、不当に高額なものとならないような支給の基準を定めているものであること。
十四  一般社団法人にあっては、次のいずれにも該当するものであること。
 社員の資格の得喪に関して、当該法人の目的に照らし、不当に差別的な取扱いをする条件その他の不当な条件を付していないものであること。
 社員総会において行使できる議決権の数、議決権を行使することができる事項、議決権の行使の条件その他の社員の議決権に関する定款の定めがある場合には、その定めが次のいずれにも該当するものであること。
(1) 社員の議決権に関して、当該法人の目的に照らし、不当に差別的な取扱いをしないものであること。
(2) 社員の議決権に関して、社員が当該法人に対して提供した金銭その他の財産の価額に応じて異なる取扱いを行わないものであること。
 理事会を置いているものであること。
十五  他の団体の意思決定に関与することができる株式その他の内閣府令で定める財産を保有していないものであること。ただし、当該財産の保有によって他の団体の事業活動を実質的に支配するおそれがない場合として政令で定める場合は、この限りでない。
十六  公益目的事業を行うために不可欠な特定の財産があるときは、その旨並びにその維持及び処分の制限について、必要な事項を定款で定めているものであること。
十七  第二十九条第一項若しくは第二項の規定による公益認定の取消しの処分を受けた場合又は合併により法人が消滅する場合(その権利義務を承継する法人が公益法人であるときを除く。)において、公益目的取得財産残額(第三十条第二項に規定する公益目的取得財産残額をいう。)があるときは、これに相当する額の財産を当該公益認定の取消しの日又は当該合併の日から一箇月以内に類似の事業を目的とする他の公益法人若しくは次に掲げる法人又は国若しくは地方公共団体に贈与する旨を定款で定めているものであること。
 学校法人
 社会福祉法人
 更生保護法人
 独立行政法人
 国立大学法人又は大学共同利用機関法人
 地方独立行政法人
 その他イからヘまでに掲げる法人に準ずるものとして政令で定める法人
十八  清算をする場合において残余財産を類似の事業を目的とする他の公益法人若しくは前号イからトまでに掲げる法人又は国若しくは地方公共団体に帰属させる旨を定款で定めているものであること。

 

欠格事由とは

欠格事由とは、公益法人として望ましくない法人を排除するための基準であり、認定法第6条に定められています。欠格事由に該当すると、公益認定を受けることができないだけではなく、認定を受けていた法人が該当する場合は、公益認定を取消されてしまいます。基本的には、暴力団が関与していない等、明らかに公益法人として認められないと考えられるものです。しかしながら、留意すべき点は、公益認定を取消された法人において業務を行う理事が役員になっている点も欠格事由として定められている点です。ここで問題となてくるのは、理事が兼任している場合です。仮に他の法人と兼任している理事について、他の法人で認定の取消を受けた場合、その法人もその理事がいるために欠格事由に該当して連座して認定の取消を受けてしまいます。そのため、理事が他の法人の理事を兼任する場合には、非常に注意しておくべきであるといえます。

 

経理的基礎とは

経理的基礎とは、認定基準の一つであり、「財政基盤の明確化」、「経理処理、財産管理の適正性」、「情報開示の適正性」のことを意味しています。新しい公益法人制度においては、特に適切なディスクロージャーが非常に重視されています。そのため、「情報開示の適正性」に関しては、規模に応じて、外部監査を受けているか、監事が公認会計士または税理士であるか、経理事務経験者が監事であるか等、「情報開示の適正性」を確保できる体制を求めています。

 

技術的能力とは

技術的能力とは、認定基準の一つであり、事業を実施するための技術や専門的能力を持つ人材、設備の能力のことを意味しています。事業の実施の能力が完全に外部の資源に依存していると認められる場合は、技術的能力がないと判断されてしまう可能性があります。

 

特別の利益とは

認定基準においては、社員や理事等の法人関係者、株式会社等の営利法人に対して特別の利益を与えないことを求めています。特別の利益とは、社会通念から見て合理性を欠くような利益や優遇のことです。公益法人が公益性を追求する法人であることを考えると当然の基準であるといえます。この特別の利益は、単に公益目的事業において求められるものではなく、法人全体において求められている基準である点に留意する必要があります。なお、公益法人が行う公益目的事業のための寄付等に関しては、この基準に抵触するわけではありません。

 

財務3基準とは

財務3基準とは、一般的に認定基準において求められている「収支相償」、「公益目的事業比率」、「遊休財産額の保有制限」の3つを意味しています。

 

収支相償とは

収支相償とは、公益目的事業に係る収入がその実施に要する適正な費用を償う額を超えてはいけないという基準です。基本的な考え方としては、公益目的事業は、公益を目的としているため、儲けてはいけないという考え方です。仮に儲けているのであれば、その分、サービスの対価を値下げするか、サービスを向上させて赤字にしなければならないという考え方です。

この収支相償の判定は2段階行われます。 第1段階は、公益目的事業ごと、そして第2段階は第1段階の収支に加えてその他の公益に係る費用・収入を合計した公益全体の収支で判定します。

基本的には、正味財産増減計算書における公益目的事業の区分の損益をベースに計算することになりますが、完全に損益ベースという訳ではありません。「収入」という記載から分かるように一部収支計算の考え方が含まれています。また、特定費用準備資金や資産取得資金など損益でも収支でもない積立資金も考慮した上で判定することになります。

収支相償においては、第1段階で公益目的事業ごとに判定することから、事業のまとめ方が非常に重要となります。類似・関連する事業であれば、事業をまとめることが可能です。基本的には、事業をまとめた方が第1段階目の収支相償では有利になるといえます。なぜなら、▲200の赤字が出ているa事業と+100の黒字が出ているb事業がそれぞれ別の事業であると、b事業について収支相償を満たさない可能性が出てきてしまいますが、両者をまとめてX事業とした場合、X事業は赤字が▲100のため、収支相償を満たすことができるからです。ただし、事業をまとめるには、類似・関連する事業である必要があります。また、収益事業等が含まれている場合はまとめることはできませんので留意する必要があります(ここでの収益事業等とは、認定法上の収益事業等であり、法人税法上の収益事業とは異なりますので、合わせて留意してください)。

また、収支相償においては、共通費用の按分計算が重要となります。なぜなら、共通費用は公益目的事業の事業費に配賦計算され、結果として収支相償の判定に影響を及ぼすからです。専務理事等の理事報酬等も合理的な配賦基準によって、公益目的事業の事業費に配賦計算することができます。

収支相償においては、収益事業等から利益を50%か50%超組入れることになります。その上で基本的に公益目的事業は赤字とならなければなりません。確かに特定費用準備資金や資産取得資金によって短期的に収支相償を満たすことは可能ですが、その場しのぎ的に利用した場合、将来的に収支相償を満たすのが厳しくなる可能性もあります。収支相償の基本的な考え方としては、収益事業等で利益を上げて、その利益を公益目的事業に組み入れして公益目的事業は赤字で運営していくというものであるといえます。そのため、短期的な視点ではなく、長期的な視点でもって、法人における事業の区分を行っていく必要が重要であるといえます。

 

公益目的事業比率とは

公益目的事業比率とは、公益目的事業の費用が事業費・管理費の合計額の50%以上でなければならないという基準です。認定基準において「公益目的事業を行うことを主たる目的とするものであること」(認定法第5条第1号)とされていますが、法人において公益目的事業がメインでなければならないという基準であるといえます。なお、ここでのポイントは、その判定を収入ではなく、費用側で判定するとい点です。

なお、公益目的事業比率の算定上の費用とは、正味財産増減計算書における費用のみではなく「みなし費用」を計算に含めることができます。「みなし費用」としては、「自己所有土地のみなし賃料」、「低額融資における利子の差額」、「ボランティアの費用」を挙げることができます。これらは実際の費用ではありませんが、公益目的事業比率の算定上、費用として含めることが可能です。ただし、含める場合は公益目的事業だけではなくて収益事業等に関しても「みなし費用」を計算しなければならないため、絶対的に含める計算をした方が有利とは限りません。そのため、法人の任意で「みなし費用」を含めるべきか否かを選択することができます。なお、一旦含めるか否かを決定した場合、毎期継続して適用する必要がある点を留意する必要があります。

また、公益目的事業比率の算定上の費用には、特定費用準備資金の繰入額も費用として含めることとなっています。他方、財産の評価損等は仮に正味財産増減計算書に含まれていたとしても、公益目的事業比率算定上の費用には含めないことになります。

なお、収支相償と同様、そもそも公益目的事業か収益事業等か事業の区分が非常に重要であるといえます。また、共通費用の配賦計算も、公益目的事業比率の算定に影響を与えるため、重要であるといえます。

 

遊休財産額とは

遊休財産額とは、法人の純資産に計上された額のうち、具体的な使途の定まっていない財産の額のことです。この遊休財産額は、1年分の公益目的事業費相当額を超えて保有してはいけません。

ここでの公益目的事業費とは、正味財産増減計算書の事業費のみではなく、公益目的事業比率算定上の費用と同様に特定費用準備資金の繰入等が含まれます。ただし、公益目的事業比率算定上認められた「自己所有土地のみなし賃料」等の「みなし費用」は認められないので留意する必要があります。

ここでの遊休財産額とは、公益目的事業か否かというのは関係なく、文字通り「遊休」状態の財産か否かが問題となります。そのため、収益事業等に使用している資産も遊休財産額から控除されます

また、特定費用準備資金、資産取得資金等、現時点で資金の形であっても、将来的に使用することが明確な資産も遊休財産額から控除されます。なお、ここでの特定費用準備資金、資産取得資金は、上記の収支相償のときとは異なり、公益目的事業に関する特定費用準備資金、資産取得資金だけではなく、収益事業等に関する特定費用準備資金、資産取得資金も含まれることになります。

なお、従来の指導監督指針上も同じような基準として「内部留保に関する制限」がありましたが、算定方法が異なるため、改めて検討する必要があるといえます。

 

控除対象財産とは

控除対象財産とは、遊休財産額を算定する際に控除する財産のことで@「公益目的保有財産」、A「公益目的事業を行うために必要な収益事業等の用に供する財産」、B「@、Aの財産の取得又は改良のための資金」、C「特定費用準備資金」、D「寄付その他によって受け入れられた財産で、財産交付者の定めた使途に従って使用、保有している財産」、E「寄付その他によって受け入れた財産で、財産交付者の定めた使途に充てるために保有している資金」が挙げられます。

 

特定費用準備資金とは

特定費用準備資金とは、将来の特定の事業費、管理費に特別に支出するために積み立てる資金で、新規事業の開始、既存事業の拡大、数年周期で開催するイベントや記念事業等の費用が対象となるものです。特定費用準備資金としての要件を満たすためには、@「資金の目的である活動を行うことが見込まれること」、A「他の資金と明確に区分して管理され、貸借対照表の特定資産に計上していること」、B「資金の目的である支出以外には取崩せないものであること又は取崩について特別の手続が定められていること」、C「積立限度額が合理的に算定されていること」、D「積立限度額及びその算定根拠について備置き及び閲覧等の措置が講じられていること」が求められています。

特定費用準備資金は、財務3基準のいずれにおいても算定上、考慮される項目であり、非常に重要であるといえます。なお、収支相償においては、公益目的事業に係る特定費用準備資金となりますが、公益目的事業比率、遊休財産額の保有制限においては、公益目的事業以外の部分についても算定上含まれることになります。

特定費用準備資金は、財務3基準を満たすために有利に計算できるケースが多いですが、合理的な算定でなければならない点、積立後は取崩が発生する点等を考慮すると、特定費用準備資金によって短期的に財務3基準を満たそうとしても、長期的には厳しくなってしまう可能性があるので十分に注意する必要があります。

 

資産取得資金とは

資産取得資金とは、特定の財産の取得又は改良に充てるため、法人の任意で積み立てる資金で、貸借対照表上に特定資産として計上する資金のことです。

資産取得資金は、財務3基準のうち、利益の50%超を繰入する場合の収支相償、遊休財産額の保有制限の算定上、考慮される項目であり、非常に重要であるといえます。なお、収支相償においては、公益目的事業に係る資産取得資金となりますが、遊休財産額の保有制限においては、公益目的事業以外の部分についても算定上含まれることになります。

資産取得資金は、財務3基準を満たすために有利に計算できるケースが多いですが、合理的な算定でなければならない点、積立後は取崩が発生する点等を考慮すると、資産取得資金によって短期的に財務3基準を満たそうとしても、長期的には厳しくなってしまう可能性があるので十分に注意する必要があります。

 

区分経理とは

区分経理とは、事業区分ごとに経理することを意味しています。認定基準である財務3基準を満たすか否かは、そもそも計算書類が事業区分ごとに区分経理していなければ判定できません。新しい公益法人会計基準である平成20年基準においては、区分経理した計算書類の様式になっています。

 

事業費とは

事業費とは、事業の目的のために要する費用のことです。

 

管理費とは

管理費とは、法人の事業を管理するために、毎年度経常的に要する費用のことです。

 

共通費用とは

共通費用とは、事業費と管理費のいずれにも共通して発生した費用のことであり、従事割合や使用実態に応じて配賦することになります。専務理事の理事報酬等についても従事割合等に応じて事業費に配賦することができます。配賦基準については、詳細なデータに基づいて算定することを求めているわけではなく、合理性が確保されている方法であれば問題ないとされています。

 

株式の保有制限とは

認定基準上、他の団体の意思決定に関与できる株式等の財産については、他の団体を支配できる形で保有することは認められていません。そのため、株式会社の議決権の過半数の株式を取得することも認められていません。ただし、無議決権であれば他の団体を支配しているとはいえないため問題ありません。旧指導監督指針上も同様の趣旨の基準がありましたが、算定方法が異なっているため留意する必要があります。

 

公益目的事業財産とは

公益目的事業財産とは、公益目的保有財産と公益目的増減差額を合計した財産であり、公益目的事業を行うために使用し、処分しなければならないとされています。

認定法18条で定められている公益目的事業財産は以下の通りです。

@公益認定を受けた日以後に寄付を受けた財産(寄付をした者が公益目的事業以外のためにしようすべき旨を定めたものを除く)

A公益認定を受けた日以後に交付を受けた補助金その他の財産(財産を交付した者が公益目的事業以外にしようすべき旨を定めたものを除く)

B公益認定を受けた日以後に行った公益目的事業に係る活動の対価として得た財産

C公益認定を受けた日以後に行った収益事業等から生じた収益に内閣府令で定める割合を乗じて得た額に相当する財産

D@からCに掲げる財産を支出することにより取得した財産

E不可欠特定財産

F公益認定を受けた日の前に取得した財産であって同日以後に内閣府令で定める方法により公益目的事業の用に供するものである旨を表示した財産

G‐1公益社団法人にあっては、公益認定を受けた日以後に徴収した経費のうち、その徴収に当たり使途が定められていないものの額に百分の五十を乗じて得た額又はその徴収に当たり公益目的事業に使用すべき旨が定められているものの額に相当する財産

G‐2公益認定を受けた日以後に行った吸収合併により他の公益法人の権利義務を承継した場合にあっては、当該他の公益法人の当該合併の前日における公益目的取得財産残額に相当する財産

G‐3公益認定を受けた日以後に公益目的保有財産から生じた収益の額に相当する財産

G‐4公益目的保有財産を処分することにより得た額に相当する財産

G‐5公益目的保有財産以外の財産とした公益目的保有財産の額に相当する財産

G‐6 G‐1〜G‐5に掲げる財産を支出することにより取得した財産

G‐7公益認定を受けた日以後にG‐1〜G‐5及び@〜Cに掲げる財産以外の財産を支出することにより取得した財産であって、同日以後に公益目的事業の用に供する旨を表示したもの

G‐8上記以外の財産のほか、当該法人の定款又は社員総会若しくは評議員会において、公益目的事業のために使用し、又は処分する旨を定めた額に相当する財産

 

公益目的保有財産とは

公益目的保有財産とは、継続して公益目的事業の用に供するために保有している財産であり、上記公益目的事業財産のうち、D、E、F、G‐6、G‐7に該当する財産のことを指しています。

 

不可欠特定財産とは

不可欠特定財産とは、法人の目的、事業と密接不可分な関係にあり、当該法人が保有、使用することに意義がある特定の財産のことを指しています。たとえば、一定の目的の下に収集、展示され、再収集が困難な美術館の美術品や、歴史的文化的価値があり、再生不可能な建造物等が該当します。財団法人における不可欠特定財産に係る定款の定めは、基本財産としての定めも兼ね備えるものです。不可欠特定財産がある場合は基本財産として表示することになります。不可欠特定財産は、財産目録に不可欠特定財産である旨、また公益認定前に取得した財産についてはその旨も合わせて記載する必要があります。

 

基本財産とは

基本財産とは、財産法人の目的である事業を行うために不可欠なものとして定款で定められ、維持しなければならず、処分に制限がかかり、滅失により法人の目的事業が不能となると法人の解散事由となるものです。

従来の財団法人においては、主務官庁の指導により法人の基礎となる基本財産をおくことが義務付けされていました。なお、新しい公益法人制度においては、現在の寄付行為における基本財産の定めは、定款において効力を有していないため、基本財産を定める場合は改めて定款に定めることになります。

なお、従来の社団法人において、任意で定款で定められていた基本財産については、新しい公益法人制度においても、引続き効力をもつものとされています。

 

特定資産とは

特定資産とは、法人の意思により使用、保有又は運用に関して、一定の制約が課されている場合の資産のことをいいます。特定費用準備資金や資産取得資金は特定資産として計上することになります。

 

公益目的増減差額とは

公益目的増減差額とは、公益目的事業財産の増減分であり、@の合計金額からAの合計金額を控除した金額となります。

@

イ 当事業年度中に寄付された財産

ロ 当事業年度中に交付された補助金等(公益目的事業に使用すべきものに限る)

ハ 当事業年度中の公益目的事業に係る活動対価

ニ 当事業年度中の収益事業等の収益に50%を乗じた額

ホ 公益社団法人において当事業年度中の徴収経費(会費)のうち、公益目的事業に使途が定められていないものの50%相当額及び使途が定められているもの

へ 当事業年度中に吸収合併した他の公益法人の公益目的取得財産残額

ト 当事業年度中に公益目的保有財産から生じた収益の額

チ 当事業年度中の公益目的保有財産の純増額

リ 当事業年度中に不可欠特定財産の改良に要した額

ヌ 当事業年度中の引当金の取崩額

ル 上記の他、定款又は社員総会若しくは評議員会において、当事業年度中に公益目的事業のために使用又は処分する旨を定めた額

 

A

イ 当事業年度中の公益目的実施費用額

ロ 当事業年度中に公益目的保有財産に生じた費用及び損失

ハ 公益目的事業により生じた経常外費用

ニ 当事業年度中の公益目的保有財産の純減額

ホ 他の公益法人の公益事業に寄付した額

 

公益目的取得財産残額とは

公益目的取得財産残額とは、「公益目的事業財産(認定前に取得した不可欠特定財産を除く)」から「認定日以降公益目的事業のために費消し、または譲渡した公益目的事業財産」及び「公益目的事業財産以外の財産であって、認定日以降公益目的事業のために費消し、または譲渡したものおよび負担した公租公課その他内閣府令で定めるものの合計額」を控除した金額のことをいいます。公益認定を取消された場合、公益目的取得財産残額を公益的団体等に1ヶ月以内に贈与しなければなりません。

 

公益的団体等とは

公益的団体等とは、公益認定が取消された場合に公益目的取得財産残額を贈与しなければならない贈与先のことであり、国・地方公共団体・類似の事業を目的として他の公益法人・学校法人等、認定法第5条第17号に定められた団体のことをいいます。

 

公益目的財産額とは

公益目的財産額とは、一般法人へ移行認可した法人が実施事業等によってゼロになるまで支出しなければならない財産額のことを指します。公益目的財産額は、移行認可日時点の時価純資産から基金等を控除した金額です。あくまで認可日時点で算定するため、移行申請時点では基本的には前事業年度末の純資産で算定し、移行認可日が確定した時点で改めて算定しなおすことになります。

 

公益目的財産残額とは

公益目的財産残額とは、公益目的財産額から公益目的収支差額を控除した金額です。ただし、公益目的収支差額がマイナス、すなわち黒字である場合は控除せずに公益目的財産額が公益目的財産残額となります。公益目的財産残額は、実施事業等によって支出している途中段階の公益目的財産の残額のことを意味しています。

 

公益目的収支差額とは 

公益目的収支差額とは、実施事業等に関する収支差額であり、プラスが赤字をマイナスが黒字をあらわしています。

 

公益目的支出計画とは

公益目的支出計画とは、実施事業等を実施することによって公益目的財産額をゼロとする計画のことをいいます。公益目的支出計画が終了するまでは、行政庁の監督を受けることになります。

 

実施事業等とは

実施事業等とは、公益目的財産額をゼロとするための支出事業等であり、認定法が定める「公益目的事業」、これまで従来の社団法人・財団法人が行っていた「継続事業」、「特定寄付」の3つがあります。基本的には、支出が収入を上回っている必要があります。

 

継続事業とは

継続事業とは、従来の社団法人・財団法人が実施していた事業のうち、従来の主務官庁が「公益活動」として認める事業のことをいいます。ただし、従来の主務官庁から公益事業として認めるという意見が出されたとしても、公益認定等委員会において、公益にふさわしくないと判断した場合には、実施事業等として認められない可能性もあります。

 

特定寄付とは

特定寄付とは、認定法第5条17号において贈与先として定められている公益的団体等に対する寄付のことを指します。

 

機関とは

一般法においては、社員総会、理事、理事会、監事、評議員、評議員会、会計監査人といった機関を定める必要があります。

社団法人が選択できる機関設計は、以下の5つです。

@社員総会・理事

A社員総会・理事・監事

B社員総会・理事・監事・会計監査人

C社員総会・理事・理事会・監事

D社員総会・理事・理事会・監事・会計監査人

なお、公益認定を受ける場合は理事会が必須となりますので、CかDとなります。

 

財団法人が選択できる機関設計は、以下の2つです。

@評議員、評議員会、理事、理事会、監事

A評議員、評議員会、理事、理事会、監事、会計監査人

 

役員とは

役員とは、理事、監事のことを指します。

 

理事とは

理事とは、法人の運営に関与する役員であり、株式会社の取締役に相当する役員です。権限、責任に関しては、株式会社の取締役と同じような取扱いになっています。理事会設置法人でない理事は原則として代表権を有しています。

 

理事会とは

理事から構成される機関です。理事会設置法人は、重要な事項については理事会の決議が必要となっています。また、理事会設置法人は、代表理事を選任する必要があります。従来の代理出席・持ち回り決議とは異なり、理事会には原則として本人が出席しなければなりません(ただし、テレビ会議は認められます)。なお、定款に記載をすれば、理事の全員が同意し、監事が異議を述べなければ決議の省略を行うことが可能となっています。ただし、その場合においても定期的な理事会の報告は必須であり、最低でも年2回は開催しなければならないことになっています。

 

代表理事とは

代表理事とは、理事会において選任された代表権を有する理事であって、株式会社の代表取締役に相当する役員のことをいいます。

 

執行理事とは

執行理事とは、業務を執行する理事であって、株式会社の業務執行取締役に相当する役員のことをいいます。

 

監事とは

監事とは、理事の職務の執行を監査するチェック機関であって、株式会社の監査役に相当する役員のことをいいます。

 

会計監査人とは

会計監査人とは、会計監査を行う機関であって公認会計士又は監査法人でなければなりません。会計監査人は、負債200億円以上の大規模法人及び一定規模の公益法人(収入もしくは支出が1000億円以上または負債50億円以上)については設置する義務がありますが、それ以外の法人については任意となっています。

 

評議員・評議員会とは

評議員会とは、財団法人において理事等を選任・解任、決算を承認、重要な意思決定等を行う機関であり、社団法人における社員総会の役割に近い機関といえます。 評議員は、理事のチェック機関としての役割を求められるため、理事が評議員を選任することは一般法上認められていません。そのため、誰が評議員を選任するのかが問題となります。FAQ上では、中立な立場にある機関等で選任することとされております。

 

社員とは

社員とは、社団法人の構成員のことです。社員は設立時には2名必要となっておりますが、その後1名となっても法人としては存続します。 

 

社員総会とは

社員総会とは、社員から構成される社団法人における最高意思決定機関であり、株式会社の株主総会に相当する機関です。

 

代議員制とは

代議員制とは、会員数が相当程度多い場合に「会員=社員」とすると社員総会の運営が困難な場合に採用が考えられる方法であり、会員から社員を選出する制度のことです。代議員制を導入するためには、一般法等の法律に遵守する必要があり、留意点としては以下の点を挙げることができます。

@「社員」(代議員)を選出するための制度の骨格(定数、任期、選出方法、欠員措置等)が定められていること

A各会員について、「社員」を選出するための選挙(代議員選挙)で等しく選挙権及び被選挙権が保障されていること

B「社員」を選出するための選挙(代議員選挙)が理事及び理事会から独立して行われていること

C選出された「社員」(代議員) が責任追及の訴え、社員総会決議取消しの訴え等法律上認められた各種訴権を行使中の場合には、その間、当該社員(代議員)の任期が終了しないこととしていること

D会員に「社員」と同等の情報開示請求権を付与すること

 

主務官庁とは

主務官庁とは、従来の社団法人・財団法人を指導監督してきた省庁等のことです。今後は、行政庁が指導監督していくことになります。なお、平成20年12月1日の新制度施行後も移行認定・認可を受ける前の特例民法法人は、引続き主務官庁の指導監督を受けることになっています。

 

行政庁とは

行政庁とは、新しい制度で主務官庁に変わって公益法人を指導監督する立場にあるものであり、2つ以上の都道府県に事務所がある場合等は、内閣総理大臣となり、それ以外の場合は、その事務所が存在する都道府県知事になります。移行申請、公益認定の申請が行われた場合、行政庁は、公益認定等委員会等に当該申請を諮問します。公益認定等委員会等が行った答申に基づいて行政庁が公益認定等の処分を行うことになります。また、公益認定を受けない場合であっても、特例民法法人が移行認可を行い移行法人となった場合は、公益目的支出計画が終了するまでは、行政庁の監督を受けることになります。

 

公益認定等委員会とは

公益認定等委員会とは、民間有識者から構成され、行政庁からの諮問に基づき公益認定すべきか否か検討を行う組織です。なお、国の場合は公益認定等委員会が設置されていますが、都道府県の場合は、同様の合議制の機関によって運営されています。

 

収支予算書とは

収支予算書とは、従来の社団法人・財団法人においては、内部管理事項に基づき作成していた収支ベースの予算書のことを意味しています。他方、新しい公益法人の基準において認定法上規定されている収支予算書は、文言は収支予算書となっていますが、内容は損益予算のことを意味しています。公益法人は、前事業年度終了までに収支予算書を作成しなければならないことになっています。なお、従来の収支予算書において含まれていた設備投資・資金調達の予算に関しては、収支ベースで予算書を作成しなくなった関係上、別途作成する必要があります。

なお、収支予算書の承認については、前事業年度末までに行わなければならないことを考えると、現実的には理事会で行うケースが多いと思われます。

 

収支計算書とは

収支計算書とは、収支ベースの計算書のことを意味しています。従来の社団法人・財団法人においては、内部管理事項に基づき作成をしていました。そのため、特例民法法人は、基本的に収支計算書を作成する必要があるといえます。ただし、平成21年3月27日の内閣府大臣官房公益法人行政担当室参事官の通知により、前倒しで新しい平成20年会計基準を適用する場合は、正味財産増減計算書を収支計算書として扱うことも主務官庁次第で可能であるとしています。これは収支予算書についても同様の趣旨が通知されています。

 

貸借対照表とは

貸借対照表とは、法人の財政状態を表した計算書類のことをいいます。

 

正味財産増減計算書とは

正味財産増減計算書とは、法人の経営成績を表した計算書のことをいい、法律上は損益計算書という名称になっています。ただし、公益法人会計基準上は正味財産増減計算書という名称になっています。正味財産とは純資産のことであり、当該正味財産増減計算書は、単なる損益だけではなく、損益以外の正味財産が増減する項目も含まれた計算書となっています。その意味で企業会計の株主資本等変動計算書と損益計算書の両者を合算したような計算書のイメージであるといえます。

 

キャッシュ・フロー計算書とは

キャッシュ・フロー計算書とは、キャッシュ・フローの状況を表した計算書のことをいい、大規模法人において作成が義務付けられているものです。キャッシュ・フロー計算書は、従来の収支計算書と近い性格の計算書でありますが、資金の範囲が異なりますので内容としては同じではありません。事業活動によるキャッシュ・フロー、投資活動によるキャッシュ・フロー、財務活動によるキャッシュ・フローの区分によってキャッシュ・フローの状況を表示することになります。

 

財産目録とは

財産目録とは、法人における資産及び負債の内容を詳細に表示するものです。平成16年会計基準までは計算書類の範囲に含まれておりましたが、平成20年会計基準以降は、計算書類の範囲から外されています。

 

事業報告とは

事業報告とは、法人の状況に関する重要な事項等を記載するものです。詳細な記載項目が定められているわけではないため、従来の社団法人・財団法人のときの事業報告書、株式会社の事業報告の項目を参考にしながら作成するのが望ましいといえます。

 

附属明細書とは

附属明細書とは、補足して説明するための明細書であり、事業報告の附属明細書と計算書類の附属明細書があります。

 

基金とは

基金とは、一般社団法人に拠出された金銭その他の財産であり、返還義務を負うものです。負債としての性格を有しておりますが、負債の部ではなく、純資産に計上されます。また、利息をつけることはできません。また、一般社団法人が解散した場合には、基金の弁済は他の債務が弁済されなければ弁済を受けることができません。

 

代替基金とは

代替基金とは、基金を返済する際、純資産が減少しないように、それに相当する金額を積立した基金のことをいいます。なお、基金の返還については、定時社員総会の決議が必要となっています。また、返還限度額が定められているため、限度額を超えて返還することはできなく、これに反して返還を受けた場合、業務執行者及び返還を受けた者は連帯して返済する責任を負っています。

 

指定正味財産とは

指定正味財産とは、寄付者等によって使途に制約が課されている資産の受入額のことをいいます。指定正味財産は、基本財産または特定資産と紐付けすることになっています。指定正味財産の指定が解除された場合、指定正味財産から一般正味財産に振替処理を行うことになります。

 

一般正味財産とは

一般正味財産とは、経常増減、経常外増減の結果として算定された財産のことをいいます。

 

税法上の用語解説

1.法人税法上の用語集

法人税法上、公益法人で使用する用語集について解説しています。参考にしていただけると幸いです。

 

公益法人等とは

法人税法上の公益法人等とは、法人税法上の別表第二に掲げる法人のことであり、社団法人、財団法人に関しては、公益社団法人、公益財団法人、非営利型の一般社団法人、非営利型の一般財団法人が該当します。また、特例民法法人も公益法人等とみなされています。法人税法上、公益法人等の中には、学校法人など社団法人・財団法人以外の法人も含まれており、一般的に制度上使用する公益法人とは、定義が必ずしも一致するわけではありません。

 

特定普通法人とは

特定普通法人とは、一般社団法人、一般財団法人のうち普通法人であることをいいます。

 

普通法人とは

普通法人とは、法人税法上の区分において全所得課税される法人のことであり、株式会社等が該当します。一般社団法人、一般財団法人において、非営利型以外の法人は、いわゆる普通法人となります。一般的に、非営利型と対比して営利型と呼ばれることもあります。

 

特定公益法人とは

特定公益法人とは、公益社団法人、公益財団法人、非営利型の一般社団法人、非営利型の一般財団法人のことを指します。公益法人等よりも定義が狭いですが、社団法人、財団法人に関していえば、公益法人等も特定公益法人も同じ意味です。

 

非営利型法人とは

非営利型法人とは、一般社団法人、一般財団法人のうち、一定の要件を満たした法人のことをいい、非営利性が徹底された法人と共益的活動を目的とする法人の2つがあります。

 

非営利性が徹底された法人とは

非営利性が徹底された法人とは、以下の4つの要件を満たした法人のことをいいます。

@定款に剰余金の分配を行わない旨の定めがあること

A定款に解散時の残余財産が公益社団・財団法人等の一定の公益的な団体に帰属する旨の定めがあること

B@、Aの要件にある定款の定めに違反した行為を行ったことがないこと

C理事及びその親族等である理事の合計数が理事の総数の3分の1以下であること

 

共益的活動を目的とする法人とは

共益的活動を目的とする法人とは、以下の7つの要件を満たした法人のことをいいます。

@会員に共通する利益を図る活動を行うことを主たる目的としていること

A定款等に会員が負担すべき金銭の額(会費)の定めがあること

B主たる事業として収益事業を行っていないこと

C定款に特定の個人または団体に剰余金の分配を受ける権利を与える旨の定めがないこと

D定款に解散時の残余財産が特定の個人または団体(一定の公益的な団体等を除く。)に帰属する旨の定めがないこと

E特定の個人または団体に特別の利益を与えたことがないこと

F理事及びその親族等である理事の合計数が理事の総数の3分の1以下であること

 

全所得課税とは

全所得課税とは、すべての所得を課税する方法です。特定普通法人である営利型の一般社団法人、営利型の一般財団法人は、全所得課税となります。

 

収益事業課税とは

収益事業課税とは、法人税法上収益事業とされている部分のみを課税する方法です。課税の範囲が限定されるため、全所得課税よりも一見有利にも見える部分はありますが、たとえば、収益事業以外の部分で赤字が発生していたとしても、収益事業の黒字と相殺することはできないため、必ず収益事業課税が有利になるとは一概にいえません。法人税法上の公益法人等である、公益社団法人、公益財団法人、非営利型の一般社団法人、非営利型の一般財団法人は、収益事業課税となります。

 

収益事業とは

法人税法上の収益事業とは、「販売業、製造業その他の政令で定める事業で、継続して事業場を設けて行われるもの」とされています。すなわち、政令において限定列挙されている34の事業が収益事業であり、それ以外の事業は収益事業に該当しません。認定法における収益事業等の定義とは、範囲も考え方も全く異なる点に留意する必要があります。 

なお、公益社団法人、公益財団法人においては、認定法上の公益目的事業に関しては、仮に法人税法上の34の事業に該当していたとしても収益事業課税されないことになっています。

 

区分経理とは

収益事業課税を行う場合、法人の一部の事業についてのみ課税を行うため、法人税法上、収益事業となる部分と非収益事業の部分に区分経理しておく必要があります。なお、法人税法上の収益事業と認定法上の収益事業等とは、定義が異なります。そのため、認定法上、公益目的事業と収益事業等を区分経理したとしても、「認定法上の区分=法人税法上の区分」となっていない限り、別途法人税法のために区分経理ができるように補助科目設定等、会計ソフトの運用を工夫していく必要があります。

 

元入金とは

元入金とは、非収益事業から収益事業へ資産を繰入した際に収益事業側で資産の相手科目のことです。元入金は、単なる法人間の振替処理によって生じるものであり、法人税が課されることはありません。

 

みなし寄付金とは

みなし寄付金とは、収益事業から非収益事業へ資産を繰入した際に法人税法上、寄付がされたとみなす処理のことです。これは、非収益事業から収益事業へ資産を繰入れる元入金の逆方向の処理であるといえます。みなし寄付金も単なる法人間の振替処理といえますが、一部損金として認められることになっています。

みなし寄付金を適用できる法人は、公益社団法人、公益財団法人、特例民法法人であり、一般法人については、たとえ非営利型法人であったとしても適用されることはありません。

なお、公益社団法人、公益財団法人においては、収益事業から非収益事業への繰入ではなく、公益目的事業以外の収益事業から公益目的事業への繰入が対象となります。これは、公益社団法人、公益財団法人においては、仮に法人税法上、収益事業となる34事業に該当していたとしても、公益目的事業の場合は収益事業の範囲から除かれるためです。

みなし寄付金の損金算入限度額の計算は、認定法上の収支相償の計算と整合性をとった計算方法となっています。そのため、仮に損益計算と課税所得計算が一致している状況においては、みなし寄付金の計算を行うことによって、実質的に法人税負担がなくなるようなケースも想定されます。

 

みなし事業年度とは 

みなし事業年度とは、課税関係に変更があった場合、法人税の計算上、変更前と変更後で事業年度を区切って計算することをいいます。従来の公益法人制度においては、法人格と税務上の取扱いが基本的に一対一となっておりました。他方、新しい公益法人制度においては、法人格と税務上の取扱いが一対一ではなくなっております。すなわち、社団・財団であったとしても、公益社団・財団法人、非営利型の一般法人、営利型の一般法人と課税の取扱いが複数存在し、それぞれ別の課税関係に変更する可能性が出てきました。そのため、課税関係の変更が生じた場合に、課税関係を区切るため、事業年度を区切ることになっています。なお、合併等が生じた場合においても、みなし事業年度で計算することになります。

 

累積所得金額・累積欠損金額とは

累積所得金額・累積欠損金額とは、収益事業課税の法人が全所得課税の法人へ移行した際に従来、課税されていなかった部分について累積して課税する際の金額のことをいいます。従来の公益法人の制度では、「社団・財団=収益事業課税の法人」であったため、このような取扱いはありませんでした。しかしながら、新しい公益法人の制度では、収益事業課税の法人と全所得課税の法人があり、収益事業課税の法人が全所得課税の法人へ移行する可能性があるため、当該取扱いが新設されています。

収益事業課税の法人が全所得課税の法人へ移行するケースとしては、公益社団・財団法人が公益認定の取消を受け、営利型の一般法人へ移行するケース、非営利型の一般法人が営利型の一般法人へ移行するケース、特例民法法人が営利型の一般法人へ移行するケースが考えられます。

なお、公益社団・財団法人が営利型の一般法人へ移行するケースの場合、累積所得・欠損課税される際には、公益目的取得財産残額の金額が考慮されて計算されます。これは、公益目的取得財産残額は、1ヶ月以内に国等に贈与しなければならず、この部分に課税することは望ましくないと考えられているためです。

また、特例民法法人が営利型の一般法人へ移行するケースの場合、累積所得・欠損課税される際には、公益目的財産額の金額が考慮されて計算されます。これは、公益目的財産額は、将来的に公益的な支出をする必要があるため、この部分に課税することは望ましくないと考えられているためです。なお、法人税法上考慮されるのは、時価純資産をベースとした公益目的財産額ではなく、当該時価純資産ベースを簿価純資産ベースに修正した修正公益目的財産額である点に留意する必要があります。

 

特定公益増進法人とは

特定公益増進法人とは、寄付金の損金算入限度額計算上、優遇される法人のことです。従来、特定公益増進法人として認められるためには、厳しい要件が定められていたため、社団法人・財団法人であっても、特定公益増進法人に該当している法人はほんの一部の法人となっていました。新しい公益法人の制度においては、公益社団・財団法人であれば、特定公益増進法人として認められることになっています。特定公益増進法人となると寄付側に税務上のメリットがあるため、寄付を受けやすくなるといえます。

 

2.消費税法上の用語集

消費税法上、公益法人で使用する用語集について解説しています。参考にしていただけると幸いです。

特定収入に係る仕入税額控除の特例とは

社団・財団法人は、寄付金・補助金・会費等対価性が伴わない不課税取引が多くなるケースが多い法人であるといえます。収入の大部分が不課税取引となった場合、仕入側の課税取引の方が大きくなり、恒常的に消費税の還付を受ける形となってしまいます。そのため、不課税取引が多くなるような法人については、消費税上、特定収入に係る仕入税額控除の特例という特別の計算を行うことになります。この計算では、不課税取引となっている割合分だけは、仕入税額控除の金額を少なくするという計算を行います。

 

消費税法別表第三に掲げる法人とは

消費税法別表第三に掲げる法人とは、特定収入に係る仕入税額控除の特例を適用する等消費税上、特別な取扱いを受ける法人のことをいいます。この中には、社団・財団法人も含まれています。なお、法人税法と異なり、社団・財団法人は、公益社団・財団法人、一般法人、特例民法法人いずれの法人であっても消費税法上は、別表第三に掲げる法人として同じ取扱いを受ける点に留意する必要があります。

 

特定収入とは

特定収入とは、寄付金・補助金・会費等対価性が伴わない不課税取引のうち、その全部又は一部が課税仕入等に使用される収入のことを意味します。そのため、仮に補助金等であったとしても特定支出に限定されている補助金は、特定収入には含まれません。特定収入は、特定収入に対応する仕入税額控除を調整する必要があり、その計算を行うことを特定収入に係る仕入税額控除の特例の計算といいます。

 

特定支出とは

特定支出とは、非課税仕入や不課税仕入となる支出であり、人件費支出等が該当します。特定支出に使用される不課税収入は、特定収入以外の収入となります。

 

使途不特定の特定収入とは

使途不明の特定収入とは、不課税取引のうち使途が不特定となった収入のことをいいます。

 

特定収入割合とは

特定収入割合とは、全収入のうち特定収入が占める割合のことをいいます。特定収入割合が5%超となった場合に、特定収入に係る仕入税額控除の特例計算を行うことになります。特定収入割合の計算は、分母に全収入を分子に特定収入をもってきて計算するため、課税売上割合の計算方法に似ているといえます。ただし、有価証券の譲渡対価は全額分母に算入する、国外売上も算入する等課税売上割合の計算と異なる部分があるので留意する必要があります。

 

調整割合とは

調整割合とは、特定収入に係る仕入税額控除の特例計算を行う際に使用する割合です。特定収入に係る仕入税額控除の計算を行うか否かは、特定収入割合によって判定し、特定収入に係る仕入税額控除の計算を行う際に使用するのは調整割合であり、両者は異なる割合ですので留意する必要があります。

 

3.所得税法上の用語集

所得税法上、公益法人で使用する用語集について解説しています。参考にしていただけると幸いです。

 

みなし譲渡所得の非課税措置とは

みなし譲渡所得の非課税措置とは、個人が法人に対して資産を贈与等する際、含み益に対して非課税措置にするというものです。みなし譲渡所得の非課税措置は、公益社団法人、公益財団法人、特定一般法人に対する贈与等に関して適用されます。なお、当該非課税措置を受けるためには、厳しい要件を満たさなければなりません。事後的に要件に満たさなくなった場合に、非課税措置を取消され、事後的に贈与した個人又は法人に対して課税が発生するケースもあるため、適用する際には、将来的な状況も鑑みて十分に検討する必要があるといえます。

 

特定一般法人とは

特定一般法人とは、法人税法上の非営利型法人のうち、非営利性が徹底した法人のことを意味します。なお、みなし譲渡所得の非課税措置を受けるためには、法人税法上の要件のほかに法人運営の方法等について追加の厳しい要件を充足する点があるため留意する必要があります。

 

4.相続税法上の用語集

相続税法上、公益法人で使用する用語集について解説しています。参考にしていただけると幸いです。

 

相続税の非課税措置とは

相続税の非課税措置とは、相続人等が相続財産を公益法人等に寄付した場合に非課税とする措置のことです。適用の対象となる社団・財団法人は、公益社団・財団法人のみです。なお、所得税の非課税措置同様、適用を受けるためには厳しい要件を満たす必要があり、事後的に要件に満たさなくなった場合に、事後的に課税が発生するケースもあるため、適用する際には、将来的な状況も鑑みて十分に検討する必要があるといえます。